こがまきこクリニックは、こが医療館 明彦・まきこクリニックへ名称変更いたしました。

乳がんとは?

がんの種類
乳がんは、乳房の中にある乳汁を分泌する器官(乳管や小葉)に発生します。乳管とは乳汁の通り道となる管で、小葉は乳汁を作る小さな腺房が集まったものです。乳管は、乳頭を中心に放射上に15~20個並んでいます(図1参照)。
乳がんは、乳管や小葉の内側を裏打ちしている細胞(上皮細胞)から発生します。乳がんの多く(約9割)は乳管に発生し「乳管がん」と呼ばれます。小葉から発生する乳がんは「小葉がん」と呼ばれます。

また、乳管や小葉の中にとどまっているものを「非浸潤がん(DCIS)」もしくは「乳管内がん」、乳管や小葉からはみ出ているものを「浸潤がん」といいます(図2参照)。 [図1]乳房の断面図・[図2]非浸潤がんから浸潤がんへの進展のイメージ図

 

非浸潤がん
非浸潤がんの場合、がん細胞は乳管の中にとどまっているので、治療は、乳房の手術と、乳房内に残っている可能性があるがん細胞を死滅させるための放射線治療を行うのが一般的です。
非浸潤がんの段階で乳がんを発見し治療した場合の予後はたいへん良く、ほぼ100%が治癒します。ただし非浸潤がんの段階では、乳房を触ってもしこりを感じることはまず期待できません。この段階の乳がんを発見するためには、乳房専用のX線を用いたマンモグラフィや超音波装置を用いた乳がん検診が必要です。乳がんにおいて検診の重要性、早期発見・早期治療が叫ばれている理由はここにあるのです。

 

浸潤がん
がんの増殖が進み浸潤がんとなると、がん細胞はリンパや血液の流れに乗って、乳房から出て、全身に広がっていく可能性があります。乳がんがしばしば全身病と呼ばれるのはこのためです。全身に広がったがん細胞を退治するためには、治療の効果が全身に及ぶ薬物を用いた治療が有用です。そのため、浸潤がんの治療では、手術、放射線に加えて薬物療法がたいへん重要な位置を占めてきます。

乳がんは、腫瘍の大きさや、乳房を飛び出たがん細胞の最初の通り道であるわきの下のリンパ節にどれだけがん細胞が存在するか(リンパ節転移の程度)などの状態によって、ステージ(病期)分類されます。

一番ステージの進んだ転移性乳がん(ステージ4)は、乳房以外の臓器(骨、肺、肝臓、脳など)にがん細胞(転移巣)が見つかった場合を指します。この場合、がん細胞が全身に広がっているため、基本的には手術は行わず、薬物による治療が行われます(関連記事1)。ステージが進むほど一般的に予後は悪くなります(下表参照)が、乳がん治療の進歩は近年、目覚ましいものがあり、予後に関するデータは参考程度にしかなりません。

 

再発乳がん
治療が終了した後に、がん細胞が再度現れた場合は、「再発乳がん」といいます。再発乳がんは、温存した乳房内にがんが再発する「局所再発」と、他の臓器にがんの転移がある「遠隔転移」とに区別されます。

乳腺内の局所再発は、手術や放射線療法、薬物療法などで、ほぼ9割は治るといわれています。

一方、遠隔転移がある場合は、がん細胞は全身に広がっていると考えられます。また、最初の治療で投与された薬物に対して抵抗性を持つがん細胞が残っている場合が多いため、完全にがん細胞を退治すること(治癒)は難しくなってきます。そのため、がんの増殖を抑える、すなわち病気の進行を遅らせ、がんと共生するための治療が行われることが多くなります。

治癒は難しくなるとはいえ、新しい治療薬の登場により、症状をうまくコントロールすることが可能になってきています。また、症状をうまくコントロールできれば、長期間の生存も可能です。乳がんと共生するための治療は、『さじを投げた後の気休め』では決してありません。実際、遠隔転移が見つかってから普通の生活を10年以上の長期間、送っている患者さんは多数存在していますし、今後も増え続けると考えられています。
●参考書籍
乳がんテキスト-正しい知識と理解のために-野口昌邦著(南江堂)、2006
がんを生きるガイド 日経メディカル編(日経BP社)、2006
乳がん診療ガイドラインの解説 日本乳癌学会編(金原出版)、2006
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